ジェフリー・A・ランディス『火星縦断』

ハヤカワ文庫SF/小野田和子訳。ちゃんと機械が壊れるリアルな火星冒険SF。 地球環境においても、それなりにきっちりとメンテナンスしているつもりの設備や機械でも、その盲点を突いてあっさりと壊れてしまいます。老朽化した設備なんざ、中途半端に直すと他…

今日買った本から

アン・ハラム『リンドキストの箱船』(野口百合子訳 文藝春秋刊) ギネス・ジョーンズの別ペンネーム。ギネス・ジョーンズはディック記念賞、クラーク賞、世界幻想文学大賞を受賞したことがあるイギリスの中堅作家。海外SFおたくにはわりと名前が知られている…

ブライアン・W・オールディス『爆発星雲の伝説』(浅倉久志訳 ハヤカワ文庫SF)

表題を読み終えた。「賛美歌百番」を含む8篇を集めた短篇集。強面の作品揃いかと思ったら表題作を含めて割と軽めの作品が多かった。表題作は、各種動物の遺伝子が混合し奇妙な知的生命体の闊歩する未開の惑星に手違いから落ちた金融業者が、口先八寸でその惑…

ロン・グーラート『ゴーストなんかこわくない』

軽妙なコメディ小説。 読み終えて何も残らないが、これはこれで。こういうのも必要ですよ(SUWA解説っぽく)ゴーストなんかこわくない―マックス・カーニイの事件簿 (扶桑社ミステリー)作者: ロングーラート,Ron Goulart,浅倉久志出版社/メーカー: 扶桑社発売日…

『どこにもない国』

柴田元幸編の幻想文学アンソロジーである表題は6/15に出るらしい。まあ、近所の書店には置かないだろうなあ…… 来週末、SFファン交流会ゲスト出演で東京へ行くので、そこで買おう。 http://www.shohakusha.com/tankoubook/shinkan/0116-5.htmどこにもない国…

ジョナサン・キャロル『パニックの手』(浅羽莢子訳 創元推理文庫)

表題を読み終えた。帯の傑作短篇集は嘘ではない。個人的に最も凄みを感じたのは、なんでもきれいに片づけてしまう掃除婦の真の姿、また世界の成り立ちを描いたノヴェラ「おやおや町」。こういうネタで書かれた作品はあるけど、書き方と最後のひねり方はこの…

ウィル・セルフ『元気なぼくらの元気なおもちゃ』

〈奇想コレクション〉叢書ではもっとも奇想要素の少ない作品集。どれぐらいかというとバラードの近作ぐらい奇想要素が少ない。あと、解説などで悪趣味を強調しているが、実のところは割ときっちりと作られた主流文学なので拍子抜けするかも。主流文学として…

田中哲弥『ミッションスクール』

異才田中哲弥7年ぶりの新刊は学園を舞台にした連作短篇集。連作といっても『やみなべの陰謀』ほど緊密につながっておらず、ミッション系の学園であることがほぼ唯一の共通点。で、各話について。第一話「ミッションスクール」 下痢のため一刻も早く排便した…

ソニー・マガジンズ出版事業譲渡

文庫・書籍発行部門がウィーヴに譲渡されるらしい。http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20060523AT2E2301B23052006.html https://www.release.tdnet.info/inbs/15170950_20060523.pdf

マンガ・雑誌を含めた本類に、月どれくらいお金かけてますか?

SFセミナーで見かけた濃い人のはてな日記から http://d.hatena.ne.jp/cataly/20060520#p3まともに家計簿を付けてないのではっきりとはわかりませんが、書籍費はだいたい月4〜6万ぐらいといったところ。以前よりは購入額・体積が減りました(洋書をあまり買わ…

オヤジ漫画経験値

やってみました。麻雀漫画と時代劇画とコンビニ廉価版コミックで点数を稼いだといえるかな。◎-○-△-× 61-80-8-511. 青木雄二◎ 2. 青柳裕介○ 3. あきやまひでき× 4. 東克美× 5. 天獅子悦也○ 6. ありま猛× 7. 井浦秀夫○ 8. いけうち誠一× 9. 池上遼一◎ 10. 池辺…

ジョナサン・キャロル『蜂の巣にキス』

ベストセラー作家サム・ベイヤーは子供の頃、頭が良いけど奔放で地元では浮いた存在だった年上の美少女ポーリンに憧れていた。だが、女子大生となったポーリンは殺され、サムはその遺体の第一発見者になったという体験をしていた。スランプに陥っていたサム…

ヲタ漫画経験値(200人版)

http://ippo.itbdns.com/test/rails/wotaexp/ggraph結果 foreignsfsite ×(10) ○(51) ◎(130) △(9) 301点安野モヨコ ◎ いくえみ綾 ◎ 内田春菊 ○ CLAMP ○ 佐々木倫子 ◎ 清水玲子 ◎ 高屋奈月 ○ 竹宮恵子 ○ 谷川史子 × 那州雪絵 ◎ 柊あおい △ 日渡早紀 ○ 美内すず…

SFショック画像

http://www.midamericon.org/photoarchive/06neb08.htmハーラン・エリスンがすごいことに!

ネビュラ賞

http://www.locusmag.com/2006/News/05_NebulaWinners.htmlネビュラ賞が発表されました。ケリー・リンクが二冠。

国内版も作りました

長篇版 http://www.fan.gr.jp/~hosoi/alltimeenq/enq-alltime4.cgi 短篇版 http://www.fan.gr.jp/~hosoi/alltimeenq/enq-alltime5.cgi

オールタイムベスト既読調査 長篇版

2006年度版のオールタイムベストSF(海外長篇部門)のアンケートも作りました。http://www.fan.gr.jp/~hosoi/alltimeenq/enq-alltime3.cgi

オールタイムベスト既読調査

2006年度版のSFマガジンオールタイムベストSF(海外短篇部門)既読調査アンケートを作りました。どうぞご活用下さい。http://www.fan.gr.jp/~hosoi/alltimeenq/enq-alltime2.cgi

SFマガジン考課表4月号

神林長平「ジャムになった男」……評価不能 《戦闘妖精・雪風》シリーズ第三部開幕編。第二部を読んでいないから、いまいち理解しがたいところがあってどうにも。評価不能 森岡浩之「変転」……-2 《星界の断章》。-1に近い-2。葛藤も文章も浅さが目立つ。90年代…

S-Fマガジン3月号

S-Fマガジン3月号の特集解説を書かせて頂いております。受賞作特集だけあって粒ぞろいですが、私はケリー・リンク「妖虗のハンドバック」とチャイナ・ミエヴィル「ロンドンにおける“ある出来事”の報告」が特に気に入っております。来年はもうちょっと余裕を…

オールタイムベスト投票(案)

SFマガジン600号記念号のオールタイムベスト投票(案)を考えてみました。締め切りまでに若干変わるかもしれませんが。【海外長篇】 1. フィリップ・K・ディック『暗闇のスキャナー』 2. イアン・マクドナルド『火星夜想曲』 3. ジョン・クロウリー『エンジン…

ケン・マクラウドインタビュー

http://www.socialistworker.co.uk/article.php?article_id=7729イギリスの社会主義労働者党の機関誌 Socialist Worker に掲載されたケン・マクラウドインタビュー。系列誌である Socialist Review にはチャイナ・ミエヴィルの短篇 'Tis Season も掲載された…

amazon.comの2005年ベストSF

http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/feature/-/593300/上位三つ、全体でも半分の作品がUKの作家によるもの。イアン・M・バンクスはもっと読みたいですよ。

世界幻想文学大賞

世界幻想文学大賞が決まったので、ensemble.indexに記事を書きました。

R・A・ラファティ『宇宙舟歌』

『どんがらがん』を中断して読む。あまりの面白さで一気に読み終えてしまった。 ホメロスの『オデュッセイア』を下敷きとして、ロードストラム船長とその仲間の冒険を描いた長篇。通っているような通っていないようなよくわからない論理と軽快な語り口で、登…

柾悟郎『さまよえる天使』

300分の1の時間感覚で生きる人々を描いた連作短篇集である表題を読み終えた。柾悟郎にしては過剰さが足りないというか、抑制されすぎている感じがする。本書の前の方の作品では定型に過ぎるところにも問題が。後になるほどそれなりに良い出来にはなってきて…

チャールズ・シェフィールド『太陽レンズの彼方へ』

チャールズ・シェフィールド『太陽レンズの彼方へ』(酒井昭伸訳 創元SF文庫)を読み終えた。第一作の『マッカンドルー航宙記』は実のところ読んでいなかったりするけど、人間関係や宇宙船のアイディアはシンプルなので、ぼくとしては全然問題なし。ハードSFと…

桜庭一樹『ブルースカイ』

少女性がテーマの話。少女性よりは第二章のシンガポールパートでのアフター少女存在としての青年が身につまされる。エンターテイメントとしてはするする読める点も含めてたいへん成功しているのだけど、SF的な面から言うと少女性へのツッコミも含めて、ちょ…

古橋秀之『ある日、爆弾がおちてきて』

ジュヴナイル時間SF短篇集。これまでの古橋秀之作品のような凄味はなくて、ウェルメイドな作品揃い。よくはできていて、満足はするけども物足りなくはあり。6作品中のベストは時間衝撃波爆弾の爆心地で60億分の1の時を生きる少女と少女を知る老人の孫を描い…

アレステア・レナルズ『啓示空間』

というわけでover 1000ページのこれはいつのアフタヌーンですか?と言いたくなるような文庫本を読み終えた。いや、これはいい部類のSF。よく立っているキャラのかけあいで読ませながらも、かなり大ネタのSF的アイディアを生かすためのストーリーもしっかり考…