ウィル・セルフ『元気なぼくらの元気なおもちゃ』

奇想コレクション〉叢書ではもっとも奇想要素の少ない作品集。どれぐらいかというとバラードの近作ぐらい奇想要素が少ない。あと、解説などで悪趣味を強調しているが、実のところは割ときっちりと作られた主流文学なので拍子抜けするかも。主流文学としての質は水準をクリア。個人的にはドラッグ小説「リッツ・ホテルよりでっかいクラック」、その続編「ザ・ノンス・プライズ」が良かった。ドラッグの売人だった男が地下でクラックの鉱脈を掘り当て、そして……という話。「ザ・ノンス・プライズ」の痛切さはなかなかのもの。

元気なぼくらの元気なおもちゃ (奇想コレクション)

元気なぼくらの元気なおもちゃ (奇想コレクション)