柾悟郎『さまよえる天使』

300分の1の時間感覚で生きる人々を描いた連作短篇集である表題を読み終えた。

柾悟郎にしては過剰さが足りないというか、抑制されすぎている感じがする。本書の前の方の作品では定型に過ぎるところにも問題が。後になるほどそれなりに良い出来にはなってきているのが救い。ロマンティックだけでは終わらない「ダイヤモンドと錆」と全てのアレルギー感受性を持つ女と大食漢の男が中国である物事について調査する姿を描いた「ブルームーンライジング」が収録作ではなかなかいい。

でも柾悟郎はこんなもんじゃないだろう

さまよえる天使

さまよえる天使