アーサー・ブラッドフォード『世界の涯まで犬たちと』

小川隆訳。角川書店刊。

犬と不具と世界に違和感がある人々の短篇集。その三つが全部か、あるいはうち二つが組み合わさった話が14篇収められている。

どの作品も、何かが起こる場合も起こらない場合も淡々とシュールリアリスティックな情景が描かれていく。どれも同じような話ではあるが、それでいて飽きさせないところは著者の筆力を感じさせる。リンクよりも奇妙ではなく、淡々としているところが可読性の高さにつながっている印象。

良い作品集だと思います。全体的なレベルの高低というのはそれほどないのですが、再読すると印象が違った「ドッグズ」(SFM掲載)、卵とクリスマスと巨大カエルというわけのわからない取り合わせな「スノウ・フロッグ」、とにかく何も起こらない「冬は南で」が特に好み。

世界の涯まで犬たちと

世界の涯まで犬たちと